2014-04-20

見たことのある知らない道

イベントからの帰りの電車、扉の脇にぼけっと立っていたら次の駅に着いて、扉が開いて、ギターを抱えて乗ってきた人が友達によく似ていて、あの髪型、細い目、あのギターを持ってる姿はきっと彼だ、そう思い込もうとしたけれど、でもマスクをしていたから確信がもてなくて、それでも前に飲んだ時にあのカバンに似てるのもってた気がする、この電車の終点は彼の最寄り駅だったし、そう思い込もうとしたけど、彼は疲れてぐたっとして空いてる席に座ってしまって、その彼の前にはさっき六本木で一緒に電車に乗った男女が立っていて、あの話し方はまだ付き合ってるカップルじゃないと思うけれど、男性の手は女性の腰に当てられていて、彼らの会話の言葉の端々からは二人の空気の入り乱れたものがにじみ出ていて、そんな二人の先にいる彼に話しかけようかなどうしようかなって悩んでる間に私が降りる駅が来てしまって、結局声はかけられなくて、携帯の電池は切れてしまっていたからすぐにメッセージも送れなくて、もやもやしながら改札を出たら、こんなに寒いのに制汗シートのパッケージを口で加えた男性が駆け足でホームに向かっていて、その先を歩いていた男性のぐるぐるに巻かれたドレッドヘアーが、今日展示で見た友達の作品にあったミミズに見えてしょうがなくて、

たった数分のできごと
何の意味もないような光景
そんな中にもちょっとした勘違いと思い込みでたくさんのストーリーが埋まってる